お役立ち情報

2024.04.05

昨今のオフショア開発・ラボ契約の動向

昨今、オフショア開発やラボ契約が注目されています。
各国のエンジニア技術の進歩とコミュニケーションツールの発展により、世界各地のエンジニアとの連携が容易になり、多くの企業がコスト削減とイノベーションの加速を目指しています。しかし、その動向には多くの考慮すべき点があります。この記事では、最新のオフショア開発とラボ契約のトレンドを解説し、そのメリットと課題について掘り下げていきます。

日本でのエンジニアリソースの状況

日本国内で優秀なエンジニアリソースを獲得するには深刻な状況に陥っています。
なぜ国内でシステム開発を担うIT人材が不足しているのか、理由として以下の3点が挙げられます。

理由①:IT市場の急速な拡大

2020年はコロナの影響で予測が難しい状況でしたが、2021年以降は再び活気を取り戻しはじめており、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資活性化を踏まえてIT業界は年々拡大を続けていますが、少子高齢化による労働力人口が減少する流れは変わらず、その結果、深刻なIT人材不足を招いています。

また、レガシーシステムがDXの足かせになっているケースも少なくありません。
レガシーシステムのモダナイゼーション(古くなった業務システムを現代のニーズに合ったものへと置き換えること)にITエンジニアの労力が割かれることにより、そのほかの領域で人的資源が不足するという状況もあります。

理由②:IT技術の進化するスピードの速さ

また、IT技術の急速な変化も挙げられます。
スマートフォンは、初代iPhoneが2007年に発売されてから約10年たっただけで世界は大きく変化しました。
ネットワーク技術はもちろん、アプリやWebサービス、AIやチャットGPT等の新しいサービスはますます増え続けていきます。このように、IT業界は必要とされる技術のアップデートが早いため、それらの知識やスキルの習得が必要不可欠となっており、それらのスキルを所持したエンジニアの確保が容易ではなくなりました。

理由③:ITエンジニアのネガティブなイメージ

稼働時間や条件に対して不満を感じることにより、ITエンジニアがきついといわれることがあります。
担当する業務量が多く、長時間残業や深夜労働、休日出勤など過重労働が発生するため、私生活を犠牲にして仕事を続けるといったイメージが残っています。スキルや成果に対して、給与等の待遇が見合っていないと感じ、長く雇用契約が続かないケースもあります。

それらを解決するために「リソース確保」としてオフショア開発を行っている企業がここ数年増えています。
従来、オフショア開発といえば、「コスト削減」が一番の理由としてあげられていましたが、現在は「リソースの確保」のためにオフショア開発を行っている企業が増えつつあります。

図 オフショア開発を検討した理由(「オフショア開発白書2023年版」をもとに当社作成)
(参照:オフショア開発の目的の多様化「オフショア開発を検討した理由・目的」)

「コスト削減」が理由の1位でなくなってきた要因の一つとして、2022年以降の円安が挙げられます。

中国で給与逆転現象が発生

長くオフショア開発拠点であった中国では、既に日本のエンジニアとの給与逆転現象が起きていると言われています。2022年03月からの急激な円安により、システムエンジニアの賃金が、日本と海外で急速に接近しています。中国の沿岸部(北京・上海等)を拠点としている場合、2022年05月頃においては日本の大都市圏の水準を上回る額まで達しています。2021年におけるシステムエンジニア職の年間賃金は、日本で472万(初級)~742万円(上級SE)に分布しています。それに対して同時期の中国・上海での賃金は318万~687万円、北京では318万~636万円と、日本の7割弱~9割強の水準にまで迫っていました。
(2021年上期平均為替レート:1ドル=106.4円、1元=16.4円)

しかし、2022年6月24日時点で、1元=20.1円と円が約2割下落してしまい、この為替レートで賃金を算定すると、上級SEの場合、北京で779万円、上海で842万円と日本を上回るところまで到達し、中級SEも日本の9割以上に賃金水準に接近してきたことが分かります。

開発チームをベトナムに構築し、開発を行うサービス「シスラボ:ODC」

当社は2024年1月からオフショア開発『シスラボ:ODC』のサービス提供を開始しました。
日本国内ではなく、クライアント専属の優秀な開発チームをベトナムに構築し、ラボ契約としてお客様へ提供いたします。

オフショア開発は進めてみたいが、コストもできるだけ抑えたい、という課題を解決するために、クライアント専属の優秀な開発チームをベトナムに構築し開発を行います。

IT人材大国のため、優れた若いエンジニアが多い

ベトナムでは生産年齢人口(15歳~64歳)が増加し、これに伴い経済成長が加速しています。平均年齢は30.9歳で、IT従事者は50万人です。また、ベトナム政府は10年以上前からIT立国を目指しているため、政府主導でエンジニア専攻の大学生に対する学費支援などを行い、その結果、毎年5万人ずつエンジニアが増加しているとされています。オフショア開発では、若手エンジニアが豊富にいるため、最新の技術(Webアプリケーション、モバイル開発)を高い水準で習得しています。これにより、現在の日本の需要に即したエンジニアが多く揃っています。

優れたマネジャーや日本語に堪能な人材が充実

ベトナムは2000年代後半に、エンジニア教育・養成に注力し始め、これまでに10年以上の歳月をかけて独自のエコシステムを構築しました。その結果、エンジニアに限らず、プロジェクトマネージャーやブリッジSEなど、IT分野の多岐にわたる人材が充実しています。また、ベトナムは世界で最も日本語を学ぶ人口が増えている国であり、同時に日本からのオフショアプロジェクトも多く存在しています。そのため、優れたブリッジSEやITコミュニケーターがますます増加しています。

日本人エンジニアを雇用した場合に比べ、コストは50%程度

ベトナム、インドなどの新興国も、かつての「日本の2~4割」という賃金水準は望めなくなってきました。
現在、円安の傾向が続き、ベトナムも年率6%で成長を遂げています。
この中で、上級SEの給与水準も上昇していますが、それでも同等のスキルを持つ日本人のエンジニアを雇用した場合に比べ、コストを約50%程度に抑えることができます。

ベトナムでのラボ契約を行える「シスラボ:ODC」によって、エンジニアリソースの確保とコストカットを同時に行い、継続したシステム開発により、更に生産性向上にも繋げていくことが可能です。
オフショア開発を検討されている企業にとっては、非常に有益であると思われます。

気になる方は、シスラボ:ODCへお問い合わせください。資料ダウンロードすることも可能です。